涼風工房

2025年1月10日(金)

新春お慶びカワウ。

新春の池で羽を乾かすカワウ

カワウ(河鵜)/カツオドリ目ウ科ウ属


水かさが減っている池の中心で羽を乾かしています。油分が少ないタイプなので、ひと泳ぎしては大きく翼を広げてしっかりとお手入れします。

新春の池で羽を乾かすカワウ

新春の池で羽を乾かすカワウ

新春の池で泳ぐカワウ
新春の池で羽を乾かすカワウ

黒く格好のよい形状の羽の持ち主です。目は綺麗な水色、ほっぺは黄色。

新春の池で羽を乾かすカワウ

すぐそばには、黄金色の目が光るアオサギの姿も。長らく同じ姿勢でじっと佇んでいました。

新春の池のほとりに佇むアオサギ

アオサギ(蒼鷺)/ペリカン目サギ科アオサギ属

新春の池のほとりに佇むアオサギ
新春の池の水鏡風景

冬場を闘うふくらすずめたち。

新春の木にとまり勇ましい表情を見せるかわいいふくらすずめたち

スズメ(雀)/スズメ目スズメ科スズメ属






趣味のページ「野生動物・野鳥図鑑」 に、「動物園の動物たち」を追加掲載いたしました。

動物園の動物たちの写真
動物園の動物たちの写真
動物園の動物たちの写真
動物園の動物たちの写真
動物園の動物たちの写真
動物園の動物たちの写真

以前、札幌に住んでいた7年半の間に北海道の動物園で撮影した写真を節操なく載せています。
昨年9月の新装開店に伴うウェブサイト作り替え時に、膨大な数のデータファイルを整理していて出てきた画像の数々です。お蔵入りは少々もったいなく感じられ、60枚ほどお気に入りを選んでみました。もしよろしければ、ご覧いただければ嬉しく思います。





オーダーメイドのご依頼品として、はがきホルダー3冊を作りました。
紫・青地系の紅葉柄友禅和紙に、赤色の飾り綴じ紐をあわせる形です。

友禅和紙の手作りはがきホルダー
友禅和紙の手作りはがきホルダー


商品制作に関しましては様々なご要望を承っております。はがきホルダーに限らず、お気軽にご相談いただければ幸いです。






夜中の薔薇/向田邦子著 を「読書紹介」に掲載いたしました。達文揃いのエッセイ集です。
下の画像をクリックで移動しますが、今回は私事の雑文も混じりますので、同じ文章をこの雑記帳のページにも掲載しています。

夜中の薔薇
幼少の頃から、人並みに本というものに馴染んできました。その中でどうも手が出ないジャンルが「エッセイ」でした。
もとより人物そのものに大きな魅力を感じている著者ならともかく、まったく知らない人の日常に興味を持つもの難しいし、小説などの複雑な創作に比べ、なんだか楽に書かれたような印象もあったのかもしれません。
向田邦子さんの「夜中の薔薇」は、そんな愚にもつかない偏見を清々しいまでに粉微塵にしてくれました。

何年か前のこと、漫才師・爆笑問題の太田光さんが、バラエティ番組「太田上田」で敬愛する向田邦子さんに絡むお喋りをされていました。
向田さんの形見分けでいただいて、湯吞として愛用していた蕎麦猪口を、日頃から度を越したおっちょこちょいな逸話が絶えない年長の家政婦さんが、うっかり洗濯乾燥機に入れてシーツと一緒に回してしまったという耳を疑うようなお話。
物書きでもある太田さん。原稿と向き合う時に憧れの向田さんにあやかれる気がして使っていた大切な品を壊されたにもかかわらず、慌てふためく彼女を前に一切怒るそぶりもなく「いいんですよ、向田さんもご自身のエッセイで”家政婦さんが割るのものは割れて当たり前のものだ”とおっしゃっていますから」と粋な対応。さすがの話術、もはやとびきりの漫談で、大笑いできたりちょっぴりじんわりしたり、小さい宝物みたいな素敵なエピソードとして心に残りました。

先月師走、最寄りの図書館に寄った際になぜか不意にその場面が頭に浮上し、そうだ初めての向田邦子さんを読んでみようと思い立ちました。
この作家についてまるで無知ではありますが、知名度の高さはさすがに存じあげています。しかし意外にも、書架にはほんの数冊の向田作品が並ぶだけ。魅惑的な猫の扉絵が誘う本書を選んで借りました。

読みはじめて何篇か過ぎたあたりで、これは返却期限に追われて読むものではない、一度読んで終わりの本ではないと感じ、じっくりかみしめるために珍しく書店で購入しました。
くすりとしたり、にやりとしたり、この文章を綴っている人物を好まずにはいられない名文の数々。外国の旅行記や日常の台所のお話、友人や仕事関係の人々とのエピソード、ご両親や子供時代の思い出、 様々な話題が豊かに展開して、心地いい文章が手際よいお料理のように鮮やかに並べられてゆきます。
中でも響いたのが、「手袋をさがす」。
うら若き勤め人であった時分の向田さんが、とある冬にお気に入りの手袋をなくし、代わりを調達することなく昭和の凄まじい寒さの中手袋なしで暮らす選択を貫く。風邪を引いて母親や友人に心配されたりたしなめられたりしても、 徹底的に貫く。そこで上司の一言が刺さる。そういった姿勢はなにも手袋のことだけでなく、今後あなたをずっと苦しめるようになるのではと。 それをきっかけに、今度は徹底して自分自身と向き合う。嘘がない、妥協もない、誠実な真っ向勝負の人だと伝わってくる。容赦なく自己に向け発揮される観察眼。順を追った真剣な思案と、その先に出した答えに、静かな迫力すら感じ胸を打たれます。
さがすのは新品の手袋ではない。納得できる、常に新しい自分。
謙遜や清貧といった言葉を嫌い、その言葉を進んで用いる人物も好まない。確固たる自分を持つからこそ、正直に生きられる。時に陰で苦悩する日があっても。

個人的に、目立つことはそんなに望まない方です。だからというわけでもないのでしょうが、服装や持ち物も昔から地味な色合いばかり。
昨年の梅雨前、度重なる暴風雨にこてんぱんに打ちのめされ、玄関にあった数本の傘がついに全滅して、新調することになりました。
売り場で眺めていても、まず気になるのは価格。色も無難に黒か紺あたりにしようかと考える。そこで一本の傘が目につきました。赤一色の丈夫そうな折り畳み式です。よく見れば全体に和柄模様が控えめに描かれています。 広げた状態で飾ってあり、お店としてもおすすめらしい。雨の日に気持ちが浮き立ちそうな素敵な傘。でもほかより少し値が張るな。しかも赤だしな。やっぱり年甲斐もなく派手に思われるかな。
・・・誰に?
ばかばかしいと自分に失笑し、その傘に決めました。
「手袋をさがす」は、その僅かな迷いと無駄な自意識への決別を瞬時に蘇らせました。

人は都合のいい符号点にだけやたら敏感になるものです。
このエッセイに出会う少し前に、まさに私も十年着用した手袋の片方をなくしていました。
おそらく帰宅途中に川沿いの小道で落としたと思われ、引き返して小一時間ほど夜道を探しました。翌日も翌々日も同じ道程を辿りましたが、駄目でした。
妹が贈ってくれた、紺色を基調としたお洒落なしっかりした手袋で、大事に使っていただけに口惜しい。我ながら突然の不注意に失望しつつ、しょんぼりうろうろ。なんてことはない、自分の場合、文字通りただ実際に手袋を探し回っただけだったのでした。

1981年に海外旅行中の飛行機事故で亡くなった向田邦子さんは、享年51歳とのこと。
くしくも、私も来月で同じ年齢になります。
そして、目次に目を通さず読了したら、最後の解説が太田光さんで本当にびっくりしたのですが、それを書かれた時点の太田さんも51歳だそう。(*現在は還暦間近くらい)
そういえば、家政婦さんのくだりはこの「夜中の薔薇」には登場しなかったな、などと思いつつ、太田さんも触れていたように、今のある面で窮屈な時代に向田邦子という人が生きていたなら、どんな風に闘い、振舞っていただろうと想像します。きっと変わらず自身を保ち、貫き、好奇心に満ちた堂々とした姿勢が、周囲に頼もしく力強く映ったに違いありません。 すぐに傷つく繊細さも結構ですが、人間が生きるには逞しさや図太さを磨くことだって、きっと同様に大事なのです。
「この先のこの国を、二度と彼女のような作家が現れない国にしたくない」
解説もまた、胸に迫る名文でした。

あとから数えたら、全62篇もありました。1篇1篇のページ数は少ないはずなのに、この各話の濃厚さはなんだろう。
紡ぐ達人。
若干それますが、手塚治虫氏の名作漫画「ブラック・ジャック」が浮かびます。一話完結の形でとてつもない濃密な物語の中に放り込まれるのに、ふと遡って数えるとせいぜい12ページ程度だったりして驚愕するのです。 長年にわたり全巻所有していますが、たぶんどちらの作品も手放すことはないでしょう。

はじめに図書館で選んでいる時、ある一冊のハードカバー本の巻頭一ページに大きく著者近影の白黒写真が載っていました。直木賞受賞の記者会見に向かう向田邦子さんが車の後部座席に座っている姿でした。たった一枚の写真から伝わるものは少なくありませんでした。聡明で意志が強く、感性豊か。ちょっぴり頑固で、気風がよく、心根は優しい。そんな女性が考える間もなく像を成し、本書を読み終えたあとも、寸分たがわぬ感想を抱くにいたったのでした。





若冲カレンダー2025。1月は竹梅双鶴図。
鳥界きってのスーパーモデルかと見紛う、すらりと美しい鶴が降り立っています。豪華な衣装さながらの白と黒の羽。竹と梅の優美さ・力強さも味方につけて、つがいの二羽が冬景色に華を添えます。

伊藤若冲の絵画作品「竹梅双鶴図」

竹梅双鶴図/伊藤若冲

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