●2005年2月(如月)
28日(月)
如月最終日は、大変にばたばたしている内にあっさり明け方になる。
何だかちょっぴり狐につつまれた気分。
いえ。狐につままれた気分。
でも、忙しいってやっぱり幸せなことだ。こういう疲れはとても心地よい。
大家さんに、いよかんをたくさんいただく。
果物大好き、かつビタミンC不足気味の私にはたまらないプレゼント。
しかし一方で、ベランダに出しっぱなしですっかり存在すら忘れかけていた、昨月取れてしまった
襖の扉をいつの間にか見られていたようで、軽く指摘される。(スミマセン・・・)
新たな桜のレターセット、お客様方の反応も早速良好でとても喜ぶ。
動きゆく季節に敏感であることは大切なんだな、と改めて思う。
その勢いを味方に、英語版にも手を入れまくった。
27日(日)
夕刻前、珍しく姉から電話があった。
「今、京都に来てるんだけど」
「えっ!?」
「涼子の好きなお香があるお店の前にいるんだけど」
「えっ!!」
かくして、彼方東にいながらにして龍涎香補充成功が約束された。
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夜も深まってきた頃、何を思ったか台車(灯油運搬用)を作り始めた。
ささやか日曜大工。
家中、使えそうなものを探す。
結局、押入れを探り使わなくなった冷風機のキャスターを外し、台所から大分古くなった板
(クッキーの生地とか伸ばすやつ)を調達して準備は完了した。
取り敢えず、板がくるくる動いてくれればそれでいい。
それだけでいい・・・
それにしても、ポリタンクにキャスターが付いていれば大変話が早いと思う。
広い世の中、どこかにはそんなものもあるのだろうかとふと考える。
26日(土)
最近はサッカーの国際試合がある度、チケットを取るためにインターネットから抽選の申し込み
をする。
サッカーが好きな姉に協力してのことで、他にも数人協力者がいるにもかかわらず、再抽選も
含めて今まで誰一人として当たったことがない。
今日もまた落選の報が届いた。何でも、6万人ほどの席に81万の応募があったらしい。
13.5の倍率。それほどまでのサッカー人気に正直面食らう。
しかし、外れる度にどうも単純に悔しい。
「お姉ちゃん、ついに当たったよ!」
一度くらいは血湧き肉踊る朗報を伝えてみたいものだと思う。
25日(金)
春一番が吹いた翌日から、ころっと真冬に戻った。
早いもので、今日ストーブに移し替えたらもう灯油のポリタンクが空になってしまった。
しかし、18リットルでどのくらいもつか、日記を遡れば分かるというのも案外便利だ。
そういう日付って、その時には覚えたつもりでも、まず例外なく絶対忘れる。
24日(木)
夕刻前、会社で使用するカードを今日急ぎで求めたいという男性から電話をいただいた。
社長さんがとても気に入って下さったとのことで、非常に光栄に思ったものの、受注生産のため
在庫というものが満足にないので、わざわざお越しいただくのは忍びないとお伝えした。
でも、先方は「それでもぜひ」と都内から横浜の外れまで足を運んで下さった。
ミニサイズも合わせて10数点のカードをお目に掛けたところ、数点を選んで下さった。
封筒だけなら直ぐに作れることをお話ししたところ、郵送ではないので宛先などの明記欄がない
ものを新たに、また何点か封筒のみのご希望も頂戴したので、お待たせしながら制作。
このようなユニークな形の来客はおそらく初めてだ。
不思議なような面白いような、とても良い経験になったと感じた。
そこまでしてでも自分の店の品を所望していただけるとは、なんと幸せなことなのだろうか。
23日(水)
春一番が吹き荒れ、まるで晴天タイフーン。
日差しは穏やかでいて力強く、見上げれば空はどこまでも澄んで明るく、春の訪れの兆しに、
やはり自然に気持ちがうきうきせずにはいられない。

美しい猫は好きだ。
凛とした気高さを感じさせる猫も好きだ。
あなたは、いわゆる美猫ではないかも知れない。
凛々しいというよりは、ちょいとばかりどっしりした風かも知れない。
だけど私は、連れて帰りたいくらいあなたを魅力的だと思ったんだ。

22日(火)
日中の気温も上がり、日も確実に伸びてきている。春は近い。
今年は花粉の量が多いと聞いた。私自身は花粉症ではないが、周りには結構いる。
花咲き乱れる春も色々。
オフに野球に関心がなくなるとは先日書いたものの、18歳だるびっしゅ君それはまずいだろう。
(パチンコ屋で喫煙)
私は彼の投球をまだ見たことがないけれど、相当期待されている投手なのでしょう。
守るところはしっかり守る大物に。
21日(月)
昼、右手の人差し指がどうもちくんと痛む。見ると、刺が刺さっていた。刺なんて、随分ご無沙汰
しております。
思い当たるふしは、午前中の室内一掃(除)に尽きます。
こういうのは、躊躇せず一思いに「えいやっ」と抜き去るに限るのです!
子供の頃は、刺とは日常茶飯事で、手でも足でもしょっちゅう刺さっていた気がする。
「刺抜き」というシロモノもあったっけ。
それが日常で爪切りと同じくらいの活躍はしていたように思う。
20日(日)
夜、「ひっく、ひっく」としゃっくりが出て止まらなくなった。しゃっくりなんて、随分ご無沙汰して
おります。
キーボード叩く度に、なぜか一度目はどうしても「しゃっくる」になります。動詞風です。私の中の
何か隠れた潜在意識がそうさせるのでしょうか。
そして、しゃっくりがいくら出ようとも、「吃逆」は出ません。
確か、しゃっくりは横隔膜の痙攣だとか。
そう書いてみると、途端に大層な症状にも思えたり。
19日(土)
雪は明け方には上がり、積もることもなく、雪景色は一時の産物に終わった。
今日は冷たい雨が終日降り続く。
自分で選んだ道だけど、自転車郵便局往復でまた濡れねずみと相成った。
ひな祭りのカードを作りたい気持ちもあったが、ちょっと今回は間に合いそうになく断念。
新しいものとしては、今箸袋一新を目論んでいる。
そして、桜咲く春に向けた品も少しずつ制作してゆきたいと考えている。
オフシーズンは、野球にほとんど関心がなくなる。
選手の契約や移籍の件でごたごたするのも見たいとは思わないし、キャンプというのも余り興味が
持てない。
つくづく、自分は単に「試合」が好きなのだと感じる。
18日(金)
冷え込みが厳しい夜半、外は雪模様。
立春から半月程が過ぎた本日は「雨水」。
雪から雨になる頃、春がまた一歩近付くそんな夜に落ちる白雪もまた粋かと存じます。
灯油って、やっぱり冬の匂いだなあ。
石油ストーブ、あったかい。
17日(木)
夕刻、仕入れで蒲田に向かうため八景の駅で電車を待っていると、
梅が淡い薄桃色の見事に群れになって写っているポスターを発見。
田浦梅の里。晴れた週末にでも、一度出かけてみようかな。
そんな淡い色ももちろん魅力的だが、私は黒が好きだ。
黒ってとても美しい色だと思っている。
どんな色とも混ざらないところも素敵。どこか孤高の色という気もする。
それでいて、側の色を映えさせることに長けている。
・・・ともっともらしいことを並べても、私が黒の衣服ばかりを好んで着るのは、単にコーディネートが
楽だからという可能性が極めて高い。
16日(水)
結局、昨日は我が家のどこかにあるはずの秘宝給油ポンプを発見することができず、今日の
夕刻になってまたセルフスタンドに求めに行った。
あの丑三つ時の冒険は一体なんだったのか。
そんな感じで昨夜遅くは暖がなく、凍えきった体でお風呂に入っていた朝方、浴槽が大いに
揺れた。
結構長く強く感じた地震だった。
15日(火)
てんやわんやな真夜中。ハロゲンヒーターさんが、突如としてお壊れになったからだ。
今さっきまで、機嫌よく明るく光っていたじゃない。しかも、まだ二季目じゃない。それで故障なんて、
ちょっとばかり根性足りないと思うの。
カバーを外して色々弄ってもみたものの、どうやら私に電化製品修理屋の素質はないらしいことが
改めて明瞭になっただけだった。
さあ、困った。暖がない。
・・・いいえ、押入れの奥には、秘密兵器の石油ストーブさまが控えておられる!
問題は、灯油がないことだけではないか。
赤い容器を手に、少し先にある24時間営業のセルフスタンドへゆくことにした。
誰もいないスタンドで、先に専用のカードを買い求めに店内に入ると、店員の若いお兄さんが少し
不審そうに私を見た。まあ、時間も時間だしなと思いつつ、外に出て給油。
さあ帰ろうと容器を持ち上げた瞬間、やばいと思った。
何とかなるだろうと甘く見ていた18リットルは、めちゃめちゃ重かった・・・
よれよれになりながら、アパートを目指す。
時折すれ違う人、私を抜き去って歩く人、みんな振り返って私を見る。どう贔屓目に捉えても、
好ましい見方ではなかった。
そして、ようやく思い至った。
丑三つ時に灯油を抱えて必死に歩く女。何か怪しいことをしでかす風に見られているのだと・・・
違うのです。私はただ、部屋を暖めたいだけなのです。
心の中で呟きながら、帰り着いた頃にはもう肩と腕と腰がめためただった。
ああ、でもこれで安心だ・・・と、まるではじめてのおつかいのような達成感も感じつつ、アパート中
ポンプを探す。
どうして、どこにもないんだろうか。
14日(月)
夢の中でごく普通に街を歩いていたら、突然強い風が体を押してきて、耐え切れず私は前に
ばたっと倒れ込んだ。
それも立て続けに何度も。
一緒だった数人の人々はまったく何ともない様子で、その都度「涼子、何してんの?」などと
思い遣りに溢れたことを言ってくれる。
やれ風の日だ、としつこく喚くからこんな目に遭うのか。
・・・はて、そんなにイケナイことなのか。
一週間ぶりに自転車に乗った。
調子が上がらずふせり気味の一週間だったが、ようやくちょっと復活の兆しだ。
あちこち仕入れにもゆきたいし、外の用事も溜まってきた。
そして、どこか近所でも、梅を撮りにゆきたいな。
ここのところ、ホットカルピスがお気に入り。
13日(日)
ペンギン右:「ああ、俺が悪かったよ」
ペンギン左:「いいや、俺こそ悪かったよ」
ペンギン右:「ちきしょう、仲直りの握手だ!」
ぱん!
ペンギン左右(心の声):「あっ。握れないんだった・・・」
ペンギン下:「いいの、それでいいのよ・・・」
嗚呼、著しく書くネタに困ると、こんなことになるのか・・・
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2.6 しながわ水族館
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12日(土)
町田の母(クッキーを送ってくれた女性)から、「異議あり!!!HPの日記に異議あり!」
と異議申し立てのメールがきた。
『誕生日は「肉の日」と分かっています、百貨店が休みだったので一日遅れました、そこのところ
よろしく』
とのことだった。
「風の日」が浸透する日はまだ遠いらしい。
11日(金)
動物園に向かうために、駅のホームにいる夢を見た。
一緒だったのは、姉と、ジェイクと、もう15年以上も会っていない幼馴染の女の子。彼女は栗毛で
茶色い瞳をした小さな男の子を抱きかかえている上、お腹も大きかった。
一体なんだ、この取り合わせは。
ホームでは、待てども待てども電車がやって来ない。
どうも京浜東北線風情だったが、駅自体は見知らぬところだったように思う。
電光案内を見ると、車両故障か何かで現在電車が動いていないという知らせが流れていた。
あとはあまり思い出せないのだけど、ジェイクが一度私の手を取ったので、何だか柄にもなく
とてもどきっとしたのをよく覚えている。
許せ、ジェイク。おねーさんに悪気はないんだ。
10日(木)
昨日、今日あたり、気温が少し高いのだろうか。
側でヒーターをつけておくと、暑いと感じる。でも、消すと途端に寒いと感じる。ちょっと離れたところで
稼動させると、もったいないと感じる・・・
ペリカン便で、突然クッキーの詰め合わせが届いた。友人の女性からだった。
特に添えられた言葉などは見当たらないけれど、これはきっと誕生日のお祝いということなの
だろうと勝手に解釈してありがたく頂戴する。
偶々の都合なのか、もしかして今日が誕生日と思われているのか、一抹の謎も残ったが、
とにかく凄く嬉しかった。
「少林サッカー」の饅頭屋の場面、DVDの「加長版」には入っていないかな、と妹から連絡があった。
私は今ひとつDVDの扱いに慣れていなくて、どうも見逃しているメニューもありがちなので、
「!」となった。
取り急ぎそこだけ確認してみたが、やっぱりカットされていた。
何が「加長」なのか、加えて長くしてこそ「加長」ではないのか、と内心でそっとエキサイト。
しかし、あんまり言うのも恥ずかしいような気がしてきたので、ここまでにする。
9日(水)
2月9日と言えば、「肉の日」。
ああ、それに別段文句があるわけじゃないさ。
しかし、最近、別の「日」を知った。
2・9=ふく=吹くで、「風の日」。
「福の日」というのもあるようだが、私は断然風がお気に入り。
私は風の日に生まれた。
何かちょっといいじゃないか。
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8日(火)
天気は湿り、気温も下がった。
夜中、いちごをぱくぱく食べた。
カラダがビタミンCをいかに欲していたかが、良く分かった。
風邪っぽいのか、体中がやたらに痛い。
7日(月)
今年は行事ごとに敏感なカード屋に華麗に変身を遂げよう!と本当に思ってはいる。(前年度比)
が、ふと考えると、次の行事ごとであるひな祭りって、3月3日だった。
あとひと月を切っている。
ううんと唸る。
あまりに「少林サッカー」を連呼する姉を見かねたのか、妹が先日香港版のDVDを贈ってくれて
感激した。
ところが、今夜夕飯ついでにざっと好きな場面を観ていたら、なぜか思い切りカットされている
シーンがいくつか見つかり、びっくりした。
映画を観た人ならきっと忘れないと思われる、肩幅の狭い偉大な作曲家志望の青年が音階で
歌い出すところからはじまる饅頭屋での一連の場面もばっさり切られていて、ちょっとショッキング。
まさか、あの青年は映倫に引っかかるのか。
6日(日)
本日晴天なり。
私の今日の役目は、美人局・・・ではなく、月下氷人、つまり男女の仲を取り持つことでした。
その舞台には、しながわ水族館が選ばれました。
総勢5名、自然に囲まれた空間でのんびりした休日。それはもう楽しゅうございました。
初対面同士である主役のお二人もすぐに打ち解けた様子、会話もずっと弾んでいて、目的地
への道すがらから、少し離れて歩くことを心がけたほどです。
私も、とても嬉しい気持ちでいっぱいになりました。心がにこにこする感じです。
もちろん、今日という日はきっかけに過ぎません。
この後の展開は、いかようにも、ご本人同士にお任せいたします。
そして、また私でも少しはお役に立てる場があれば、いつでも喜んで馳せ参じます。
日曜の午後、館内は家族連れを中心に大変な人出でした。
私は、水族館が大好きなのです。でも、訪れるのは前回がいつだったのかも分からないほど
久しぶりでした。
そして、このしながわ水族館には初めてで、ぜひ一度行って見たいと昔から思っていたので、
実際のところ、役目も何もそっちのけ、幼稚園の遠足丸出しという風で自分が大いに楽しんで
しまいました・・・
写真をたくさん撮りました。気分は勝手に海洋写真家です。

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ゆらりと優雅に。ゆらめくままに、気ままに。
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精緻な色合いに見惚れる。
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あなたが好きなの。理由なんてないの。
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幻想的な水中トンネル。ここから中々動けず。
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孤独なんかじゃない。影は裏切らないもの。
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自由自在に泳ぎ回る群れ。
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「ほら、あなたウツボ好きでしょ!」と幼子を呼ぶ母。
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水という物質の奇跡的な美しさ。光があってこそ。
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初めて出会ったノコギリザメに感激。
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「シャークです。強面です。小さな女の子泣かせました」
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5日(土)
相変わらず間違い電話が多いのは仕方ないにせよ、留守番電話に溌剌と用件を吹き込まれると
気になるじゃないか。
今日は、夜伊勢佐木町の有隣堂に行っている隙に、どこか(地名)のどこか(建物名)の中にある
なんとか薬局から「ご注文のコラーゲン美容液が入荷しました」と言われていたが、少なくとも
私の中にはそのようなものを注文した記憶はない。
しかも、聞き取れるのは「薬局」だけだったので、知らせたくてもどうしようもない。
アンジャッシュのコントで「変換」というのがあって、いたくお気に入り。
取引先の相手同士がメッセンジャーで会話するのだけど、片方はパソコンが苦手で、一方的に
誤変換だらけの文章を気が付かずに送り続けてゆく中での遣り取りという感じ。
本当に上手で、感心してしまった。
漢検の変漢ミスコンテストしかり、そういうの大好きなので、自分も面白い変換がしたくて堪らない。
ちなみに、「がいぶよう(外部用)」は、「害舞踊」と出る。(情報提供元/妹)
4日(金)
起き抜けにコンタクトレンズをはめようと鏡を覗くと、左目だけが見事に真っ赤で一瞬ぎょっとする。
「うわあ結膜炎か?まあ、ものもらいより良いか・・・」と案外前向きなことを思ったが、数時間後
には何もせずとも綺麗さっぱり消えていた。
これだって、ちょっとした幸せ。
昼間、暖かな日差しが部屋をぽかぽかにしてくれて、春心地。
張り切って室内中掃除して、仕事部屋もすっきり。気分いい。
これもささやかな幸せ。
起床してシャワーを浴びたあと、パソコンに向かいながら飲むその日はじめてのコーヒーは、
最高に美味しい。
「ああ、この一杯のために生きてるぜ」風に体に染み入る、日々欠かせない幸せ。
冷え込む深夜、かじかむ手を温めるためにヒーターに接近しながらしばし休憩。
体もぬくぬくしてきて、猫心地。
ひと時、心を自由に彷徨わせる。
これだって、結構な幸せ。
仕事を得ること。常に私を支える元気の素になる。
必要とされること。きっとそれが、何よりの幸せ。

3日(木)
この日記をはじめ、長い文章を書くということ自体に、私は少し苦手意識がある。
どちらかというと、「簡潔に要領よくまとめなさい!」的な意識が優位に働くように思う。
それでも、題材さえあればそこそこの長文を書けるのかも知れないと、蜘蛛女がちょっとだけ
教えてくれた気がする。
が、二日は続かない・・・
2日(水)
「蜘蛛女」。10年ほど前にたまたま映画館で観た、それきりの映画。
それなのに、朝方布団の中で寝付けずにいたら、なぜか唐突に頭に浮かんできてはもう
止まらなくなった。
ゲイリー・オールドマンがちょっと小者風の悪徳刑事で、マフィアと繋がって情報流してお金
もらっている。
彼は奥さんと二人で暮らしているが、若い愛人もいる。
そして、マフィアのボスも恐れる殺し屋の美女を護送する役を任され、彼女にとことん振り
回されまくる。
この悪女こそ蜘蛛女、そんじょそこらのセクシー悪女とはわけが違う。
肉体を武器にするのは同じだけど、とにかくタフネスかつアマゾネス。
そして、何より最高級にデンジャラス。
捕らえられた車の中でも、手が自由にならない状態なら足を使って相手の首を締め上げ、
そのまま足でフロントガラスをぶち破って這いずり出て逃げる。
朝もやの中、がに股でなりふり構わず走り去る後姿。
こんなにスマートでない悪女には、そうそうお目にかかれない。
挙句の果てに、ゲイリー・オールドマンの愛人を殺害して火をつける時、死体を自分に見せかける
為、自らの両腕を切断して一緒に燃やしてしまう。
しかも、豪快に笑いながら・・・
ほとんどホラーの域だ。
このような物語の為、一緒に観ていた女友だちは、あまりに奇っ怪な蜘蛛女の凄まじさに
完全に引いており、半ば呆れたような感想しか口にしなかったと思う。
しかし、私は違った。
「どうせワルイ女になるなら、このくらい徹底してしかるべし」
とはさすがに思わなかったが、こともあろうに、この映画のラストで大いに泣いてしまったのだ。
私は最初から、ダメ男のゲイリー・オールドマンに感情移入しっぱなしで、哀しくて切なくて苦しい、
そんな気持ちで堪らなくなっていた。
彼は転落してゆく。
独特の退廃的なムードが漂う中、どんどん追い込まれてひたすら堕ちてゆく。
最後には、堪えきれず警察署の中で蜘蛛女を撃ち殺してしまう。
そしてその後・・・
荒野のど真ん中のような場所にぽつんとあるガソリンスタンドに、一人置いてゆかれるのだ。
周りには誰もいない。
何もない。
既に蜘蛛女に手を掛けられたであろう、二度と会うことが叶わない奥さんの面影だけが一緒
なのだ。
私は必死で堪えながらも、我慢出来ずにぼろぼろ泣いていた。
なんだろう、この哀しさ具合は。
なんだろう、この眩暈がするような同調感は。
分かるような気がしたのだ。
何もない空っぽの自分が、何もない場所に一人ぽつんと放り出される、気が遠くなるような
心許なさと絶望感が。
これは、私にとってはただひたすらに哀しい男の映画だった。
女友だちには、絶対に泣いたことを悟られないよう必死に隠した。
「あたし、“蜘蛛女”観て大泣きしたの」
今まで10年間、誰にも言ったことがない・・・
蜘蛛女のお陰で、稀に見る長文になった。
1日(火)
私には、電話が鳴ると反射的に時計を見る癖がある。
作業台についている時は、掛け時計にちょうど背を向ける形になる。
今日、まだ18時台だろうと思われる時分に電話のベルが鳴ったので、ぱっと振り返って時計に
目をやると、針は21時を指していた。
気分はタイムストリッパー。
いつしか時空を飛び越えた。
自分でも驚くくらい、時間の感覚を一瞬完全に見失って、くらりとした。
正確な時計って、とっても大事なんだね。
ちょっと初心にも戻ってみる、梅も咲く如月はじめ。
「如月」には、寒さが増して重ね着をする「着更着」からこの別称になった説もある。
こういうのって、日本語ならではでとてもいいなと感じる。
言葉を大切にするからこそ、昔の人も言葉遊びのようなものが好きだったのだろうか。
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