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11月28日(日)


二週間に一度の図書館通い継続中。最近読んだ本は以下のような感じです。


でっちあげ -福岡「殺人教師」事件の真相- /福田ますみ著

・でっちあげ -福岡「殺人教師」事件の真相-
 /福田ますみ著


・慈雨 / 柚月裕子著


・臨床真理 / 柚月裕子著


でっちあげ -福岡「殺人教師」事件の真相-

不穏な題名の本書は、2003年に福岡で起きた、小学校教諭による生徒へのいじめ事件を追ったルポです。
被害者とされるのは、40代男性教諭が担任するクラスの男児。ある日、男児の母親が、「家庭訪問時に、先生から人種
差別的な発言を聞かされた」との苦情を学校へ報告します。母親によれば、自分にはアメリカ人の曾祖父がいると話したところ、
男児にも受け継がれているその血を「穢れている」と表現し、徹底した差別感情をぶつけられたとのこと。そして、それを偶然
耳にしてしまった男児がひどく傷ついているとのことでした。
その件を皮切りに、父親も参戦して、「うちの子が帰りの会の中で先生からこういういじめ行為をされた」「先生からこんな
暴力を受けた」などと、常にその内容の具体的な描写を交えながら、教諭と校長を激しく糾弾し追い詰めてゆきます。そして、
ついには「『自分で死ね』と先生に言われ、うちの子はマンションの6階から飛び降りようとした」とし、学校側に教諭への厳しい
処分を求め、民事訴訟へも発展することとなるのです。

担任の男性教諭は、ひたすら愕然とします。すべてが身に覚えのない出来事だからです。
大学卒業後に一度は一般企業に就職したのち、夢を諦められず教員採用試験に10回目で合格、30代半ばでついに教壇に
立つことに。この経歴を聞くだけでも、教師という職に対し並々ならぬ意欲と覚悟を持った人物だと感じてしまいます。実際、
生徒たちには慕われる先生であったようです。
しかし、彼の自他ともに認める優柔不断気味な性格に加え、喜怒哀楽をあまり表には出さない性質が、事態を悪い方へ導く
一因となったのは確かだと思います。穏便に済ませたい学校側の方針のままに、事実ではないいじめや体罰を認め、
両親に謝罪してしまったのです。それを踏まえ、市の教育委員会は教諭に6か月の停職処分を与えました。この流れは
本当に憤りを覚えましたし、痴漢の冤罪問題も連想されました。

今は「モンスターペアレント」という言葉が周知されています。理不尽な言いがかりや常識外れの難癖をつける親が少なくない
実態が、世に把握されています。でもそれが、まるきりの虚言、妄想であったらどうでしょうか。微に入り細に入り教諭のいじめの
言動の説明をし、臨場感溢れる挙動で被害を懸命に訴え、子を守る親として激高する。そんな両親の姿を見て、「嘘つきだ」と
疑いを持てるでしょうか。まず多くのマスコミが、見事に騙されたのです。教諭はいよいよマスメディアにも責め立てられ、実名も
暴露され、更に逃げ場を失ってゆきます。

そして、民事訴訟です。原告は男児とその両親、被告は教諭と福岡市です。原告側が警察に被害届を提出すれば刑事告訴も
可能だったと思われますが、裁判は民事のみ。つまり損害賠償請求の形になります。
原告には、なんと500名を超える弁護士軍団がつきました。もちろん表立って動くのは代表弁護士ですが、その時点で異様な
空気が漂う裁判です。負ける気など微塵もしなかったことでしょう。しかし、ある意味、原告一家がどこか裁判というものを
なめてくれたお陰で、暴かれたような気がします。嘘が、妄言が、でっちあげが。

男児のPTSD(心的外傷後ストレス障害)の判定が重要な肝となった裁判中の記述を読みながら、何度も思いました。原告側の
人間に精神鑑定を受けさせることはできないのかと。そのくらい、異常でした。虚言癖の一語で終わらせてはいけない、底のない
暗黒の闇すら見える思いで戦慄します。そもそも事の発端となった差別発言「アメリカ人の血」から嘘だったのです。調査の結果、
肉親に該当する人物は存在しないことが分かり、両親にも男児にも、誰にもアメリカ人の血は流れていないと判明しました。
男児が「穢れた血」の言葉に深く心を痛めたという事実が、生まれっこないのです。母親がかねてより誇らしげに周囲に披露して
いたアメリカ絡みの経歴も、何もかも事実ではありませんでした。明確な意図が判然としない原告の母親の言動は、どんな血に
まみれたホラーチックな物語よりも恐ろしく映りました。

個人的には、教職に就いている従兄弟や友人もおり、生徒さんたちに日々向き合う仕事を選択する人々を尊敬しています。
一方で、この事件ででっちあげられた人物に近いような、モンスター教師も実在はすることでしょう。
「真実」を知ることの難しさ。断定することの難しさ。現代のインターネット社会では、より痛感することが多いです。難しいから
こそ、判断は慎重にならなくてはいけない。確かな事に辿り着くまで、丁寧に近寄り解きほぐさなくてはならない。先入観から、
決めつけてはならない。自らにも改めて言い聞かせたいと思います。

なお、裁判では原告側敗訴の形にこそなりませんでしたが、申し立てた言い分はほぼ認められず、事のはじまりから実に10年の
歳月を経て、教諭は懲戒処分を取り消されました。


11月2日(火)


相当久しぶりにカメラ持参でご近所を散策。小さい秋が散りばめられる風景の中、公園の池にはカイツブリ親子の姿もありました。

カイツブリ 子育て
カイツブリ(鳰)の親子/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属



カイツブリがこの時期に子を産み育てるのは、まあまあ珍しい方だと思われます。主な繁殖期は、4月-7月頃とされています。

カイツブリ ヒナ
カイツブリ(鳰)の親子/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属



秋 ときどき カイツブリ、アオサギ幼鳥、コサギ、カルガモ。のち キジバト、ハクセキレイ。

カイツブリ 雛
カイツブリ(鳰)の親子/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属


カイツブリ 生態
カイツブリ(鳰)の親子/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属



カイツブリ 画像
カイツブリ(鳰)のお父さんかお母さん(※瓜二つ)/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属



カイツブリ 家族
カイツブリ(鳰)の親子/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属



カイツブリ(鳰)の親子/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属




カイツブリ(鳰)の親子/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属




カイツブリ(鳰)の親子/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属




カイツブリ(鳰)のお父さんかお母さん(※瓜二つ)/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属



カイツブリ 成鳥
カイツブリ(鳰)のお父さんかお母さん(※瓜二つ)/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属



カイツブリ 親子
カイツブリ(鳰)の親子/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属



アオサギ(蒼鷺)の幼鳥/ペリカン目サギ科アオサギ属



カルガモ(軽鴨)/カモ目カモ科マガモ属


カイツブリ 親子
カイツブリ(鳰)の親子/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属


カルガモ 画像
カルガモ(軽鴨)/カモ目カモ科マガモ属



カイツブリ 子供
カイツブリ(鳰)の親子/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属


アオサギ 幼鳥 画像
アオサギ(蒼鷺)の幼鳥/ペリカン目サギ科アオサギ属


アオサギ 幼鳥
アオサギ(蒼鷺)の幼鳥/ペリカン目サギ科アオサギ属



カイツブリ(鳰)の親子/カイツブリ目カイツブリ科カイツブリ属



コサギ(小鷺)/ペリカン目サギ科コサギ属


アオサギ 幼鳥
アオサギ(蒼鷺)の幼鳥/ペリカン目サギ科アオサギ属



コサギ(小鷺)/ペリカン目サギ科コサギ属


アオサギ 幼鳥 画像
アオサギ(蒼鷺)の幼鳥/ペリカン目サギ科アオサギ属




キジバト(雉鳩)/ハト目ハト科キジバト属



ハクセキレイ(白鶺鴒)スズメ目セキレイ科セキレイ属







正規商品である 「越前和紙・友禅和紙の和風はがきホルダー」 の「うさぎピンク」をご注文いただいた際、贈り物用として
ラッピングのご依頼がありました。
このような場合はラッピング代を別途頂戴する形になりますが、一例としてご参考になれば幸いです。


   はがきホルダー7(うさぎピンク)




二週間に一度の図書館通い継続中。最近読んだ本は以下のような感じです。


狂犬の眼 / 柚月裕子著

・狂犬の眼 / 柚月裕子著


・第三の嘘 / アゴタ・クリストフ著(堀茂樹訳)


・ふたりの証拠 / アゴタ・クリストフ著(堀茂樹訳)


注:ネタバレのようなものを含む文章です】

「ふたりの証拠」「第三の嘘」は、10月の日記 で紹介した「悪童日記」の続編三部作です。
こちらも20年前にはハードカバーを所蔵していました。時を経て今再び読み返すと、驚くほど内容を忘れていました。
「悪童日記」では語られなかった、当事者である双子の少年の名も明かされ、年齢を重ねながら営む生活や近しい人々との
かかわりが描かれます。「悪童日記」と変わらず魅惑的な文体の物語で、その世界観にひきこまれます。
ただ、個人的には、例えば推理小説などで重要人物が書き残したとされる興味深い手記が長々と綴られ、真剣に読んだ挙句、
"実はこの手記は別の人間が捏造して書いたものでした"とされるのを好まない方です。それがぴったり当てはまるわけでは
ありませんが、「悪童日記」で目にしたその全ては作りごとで事実ではなかったとも解釈できる着地は、どこかがっかりする
ような寂しくなるような気持ちすら湧きました。本当に、常に独特の感情を揺さぶる三部作でした。
ちなみに、作者のアゴタ・クリストフさんはハンガリー出身で、のちにスイスに亡命した作家です。当時日本でもその才能が
話題になり、ご本人が公に来日したこともあったと記憶しています。

「狂犬の眼」も、10月の日記 で紹介した「孤狼の血」の続編です。図書館に予約を入れてから2か月でついに順番が回って
きました。広島県の架空都市・呉原東署捜査二課暴力団係を離れ郊外の駐在所勤務となった日岡巡査が、一人の筋を
とことん通す切れ者の極道との濃密なかかわりを経て、巡査部長に昇進しマル暴へと返り咲きます。正義とは仁義とは任侠とは。
正しさや信念というものは、人の数だけ存在してしまうのでしょう。心に熱いものを持つ男たちが生き様を魅せます。
こちらも三部作で、続く三作目の「暴虎の牙」も同じ頃に予約しましたが、今現在のところ、あとちょうど100人の手に渡り
読み終えるのを待つ状態です。今までは予約図書の受け取りに待ち人がいることがほぼなかったので、人気が集中するとこう
なるのかと新鮮な衝撃を経験しました。


 



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