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12月31日(火)


こんにちは、ウェディングドレスなみの純白ボディがチャームポイントのコサギです。


コサギ 画像
コサギ(小鷺)/ペリカン目サギ科コサギ属


白いサギ=シラサギには、三種類の名があります。「ダイサギ(大鷺)」「チュウサギ(中鷺)」「コサギ(小鷺)」です。
つまり、シラサギの中でもっとも小さいのが、我々コサギということになります。


ホシハジロ 画像


風が強くて、自慢の白い羽が乱れ気味ですがご了承ください。くちばしにもくっついちゃった。頭部にはヘアスタイルまで出現。


コサギ 画像


さて突然ですが、清少納言の名をご存じの方は多いと思います。平安時代の女流作家で、「枕草子」という随筆が有名ですね。
どこぞのR工房店主も、遠い昔に中学校の国語の授業で暗唱した「春はあけぼの」から「冬はつとめて」までの一連の文を今でもそらで言えるとちょっぴり鼻高々のようです。

しかし、それはあくまで冒頭部分であり、一冊の枕草子からすればごくごく僅かな文章量。そのあとには清少納言が様々な事柄について様々な言葉を綴っています。
そして、我ら鳥類について記された「鳥 は」が第39段に存在するのです。どきどきしますね。


コサギ 画像


結論から言うと、オウムさん、ホトトギスさん、クイナさん、シギさん、ツルさん、オシドリさん、チドリさん、そのほかのみなさん、全員こぞって褒められています。「いとあはれなり(とっても情緒深い)・いとめでたし(とっても素晴らしい)・いとをかし(とっても風流)」など、手放しの賛辞が並びます。
さあ、ついに我々サギの番。どんな表現で嬉しくさせてくれるのでしょうか。

鷺は、いとみめも見苦し。まなこゐなども、うたてよろづになつかしからねど、「ゆるぎの森にひとりは寝じ」と争ふらむ、をかし。

・・・。

サギは、見た目もひどく見苦しいそうです。
目つきなどもいやらしく、すべての点に親しみは感じないそうです。
しいて言うなら、「ぼく一人寝なんかやだもん!」と妻を求めて争うところが面白いそうです。

・・・なぜゆえ数多の鳥の中で自分らだけこんな目に。彼女はサギが親の仇かなにかなのでしょうか。

気の毒に思ったのか、どこぞのR工房店主が明るく撮ってくれました。後ろ姿なら目つきも関係ないしね。


ホシハジロ 画像


・・・もはやなんの鳥か分からないじゃん。



気を取り直して、コサギギャラリー。


ホシハジロ 画像


ホシハジロ 画像


ホシハジロ 画像


ホシハジロ 画像


ホシハジロ 画像


ホシハジロ 画像


ホシハジロ 画像


ホシハジロ 画像




キンクロハジロ 画像
キンクロハジロ(金黒羽白)/カモ目カモ科ハジロ属



キンクロハジロ 画像



アオサギ(蒼鷺)/ペリカン目サギ科アオサギ属



12月上旬に撮影



* * *


6月以来、2週間に一度図書館へ寄っては一冊の本を借りてくる習慣が続いています。10月の日記 に記載した小説に少し足して、現在までの読了本はこのような顔ぶれに。


  ・ソロモンの偽証(宮部みゆき著)*三部作

  ・彼女の血が溶けてゆく(浦賀和宏著)

  ・優しいおとな(桐野夏生著)

  ・抱く女(桐野夏生著)

  ・バラカ(桐野夏生著)

  ・震える牛(相場英雄著)

  ・彼女は存在しない(浦賀和宏著)

  ・ツバキ文具店(小川糸著)

  ・ハピネス(桐野夏生著)

  ・悪の教典(貴志祐介著)

  ・死ねばいいのに(京極夏彦著)

  ・奴隷小説(桐野夏生著)

  ・だから荒野(桐野夏生著)

  ・猿の見る夢(桐野夏生著)

  ・夜また夜の深い夜(桐野夏生著)

  ・夜の谷を行く(桐野夏生著) *6月の日記で紹介


* * *


最近読み終えたのは、宮部みゆきさんの「ソロモンの偽証」です。こちらは、700ページを超えるハードカバー三冊に分かれており、計2000ページ超の三部作(事件・決意・法廷)となっています。かねてより気になっていた大作であり、実際に久しぶりにどんどんページをめくりたくなる衝動に駆られる作品でした。睡眠時間を削ってでも読み進めたいけれど、疲れてふわふわ状態の脳で、勢いで通り過ぎてしまうのももったいない。そんな気分でした。


一人の少年が、雪が降るクリスマスの深夜に、自身が通う中学校の屋上から転落して死亡する。柏木卓也少年。幼い頃から病弱で精神も繊細、学校になじめない彼には友人もおらず、このひと月は不登校の状態となっていた。遺書と思しきメッセージなどこそ残されていないものの、警察をはじめ家族や生徒たちも当然のように自殺だと受け取る。しかし、ほどなくして柏木少年の殺害現場を目撃したという内容の告発状が公になる。匿名で出された文書には、手を下したとされる実行犯が実名で挙げられていた。それは同じ中学校に在籍する札付きの不良生徒の名であった。更に、この学校にまつわる不幸な出来事の連鎖はこれだけでは終わらなかった。
警察官、記者、教師、保護者、遺族。大人は真実を教えてはくれない。突き止めることはできない。本当のことを知るために、柏木少年とさほども親しくなかった同級生たちが動き出す。誰のためでもなく、それぞれの思惑のために。


いわゆる謎を解明する「ミステリ小説」だと先入観をもって読み始めたのですが、率直に述べれば、真相自体には大きな驚きはありませんでした。そうではなく、この小説は一番に謎解きに重きを置いた話ではなくて、登場する個性を備えた一人一人の中学生たちが悩み、もがき苦しみ、葛藤し、変化し、そして驚異的な成長を遂げてゆく様を丁寧にすくい上げるように積み重ねながら描いている物語なのでした。
宮部みゆきさんは多作なので、到底すべての作品を知っているわけではありませんが、過去多少なりとも読んできました。自分の好みは「火車」と「模倣犯」でした。「ソロモンの偽証」は、どことなく「模倣犯」の系譜のように感じた次第です。

中学生は、子どもです。子どもだからこそ苦しむ事柄がいくらでもあることを、子どもだからこそ逃れる術のない閉塞感に囚われることを、その時期を経験して大人になった多くの人間は理解しています。理解しているのに、時の経過に伴い感覚は薄れます。忘れもします。言葉で表せばそれが「思春期」だと振り返ることができるわけですが、そんな風に一口に括られては、中学生を生きる彼らにしてみればたまらないでしょう。

彼らは、自分たちの力で真相を明らかにするべく、中学三年の夏休みに学校裁判を開廷します。判事、弁護人、検察官、被告人、証人、陪審員、個々の役割を担い、たった14、15歳の子たちとは到底信じられないほどの準備を重ね、その過程でさんざん傷つきながら、やり遂げる決意を固めます。いくら学内でも優秀な生徒を中心人物に据えているからといって、さすがに中学生にしては頭脳の明晰具合や行動力や言語能力が凄すぎやしないかと、やや引っかかる点もありました。けれども、宮部みゆきさんの文章からは常に物書きとしての誠実さが滲み出ていると感じます。生意気を言うようですが、これが「信頼できる作家」「読ませる作家」なのだなと改めて思いました。

人間の顔は一つだけではありません。相対する人が誰なのかで、小さく変わることも大きく変わることもあります。意図せずに関係性が自然にもたらす変化も存在します。
中学生が自分たちの法廷で追究したものは、事件の真相だけではなく、生前知らなかった柏木少年の「顔」そのものでもありました。そして、柏木少年を通してこの裁判に深くかかわった多くの人をも暴き、解明し、その魂の救済に貢献する結果へと向かうのです。

閉廷したあと、「本当によくやったね」と保護者目線で彼ら彼女らの頭を撫でて労いたい気持ちが湧くと共に、自分でも意識しないうちに涙が溢れて頬に流れ落ちていて、びっくりしました。まるで一生に一度の暑い夏を一緒に駆け抜けたあとかのように、脱力感やら安堵感やら虚無感やら寂寥感やらが束になって襲ってきて、それだけ思い入れて読んでいたのかと、驚きと充足感をもってそっと本を閉じたのでした。





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